メダンーブキットラワンのアブラヤシプランテーション

メダン―ブキットラワンの往復で、主にビンジャイバスステーションを出た後ブキットラワンまでの道は
ほぼほぼアブラヤシプランテーションの眺めでした。

 

行きは公共バスの中でほとんど写真が撮れなかったので、下記は帰りに映したものです。
帰りのドライバー兼ガイドさんが詳しく話をしてくれましたので、
写真とその話をメインに、私が見てきた様子を私の感じたことと共にレポートします。

 


ブキットラワンをでてしばらくすると両側にアブラヤシプランテーションが広がります。
車窓から映しています。

 


整然と並ぶアブラヤシ。
この場所はアブラヤシ農家専用の道とのことでした。
帰路は個人送迎カーをお願いしたので、ドライバーさんがアブラヤシ農家をよく見れるようにと
この道を通ってくれました。整備されていて、交通量は少ないです。
通常はもう少し広く、交通量の多い、そして荒れた道を通ります。

 

ドライバーさんと言っても、以前はジャングルガイドやガイドの養成をしており、今も時々ガイドをするそうです。ブキットラワン出身で、父(祖父はジャワ島からきた)がゴム農家→アブラヤシ農家で働いており、そのあたりの話も交えて空港までの3時間以上様々な事を聞けました。

 

この辺りの木は、かなり成長していますがまだ果実が取れるそうです。

 

 

 

アブラヤシプランテーションの会社の案内。
現在スマトラでは4つの大きな会社があるとのこと。(ガイド談)
ロンドン資本1社(この写真のLONSUM社が該当)、インドネシア資本2社、マレーシア1社とのことでした。

 

 

延々と、

 


延々とアブラヤシが続いて、

 

 

これは学校です。
アブラヤシプランテーションが続いた後に、こうしてぽんと小さな村が続きます。
この道沿いに見えた村の家は、割と大きくきれいな庭のある家が多く、
ゆとりのあるような感じがしました。
こうして学校があるのもその表れなのかもと思いました。

 

そしてまた、アブラヤシが延々と続きます。

 

ちなみにガイドさんが小さな頃、この辺りはどんな様子だったのかと聞くと、
ゴムプランテーションだったよとのことでした。

 

現在もゴムプランテーション→アブラヤシプランテーションへの転換は進んでいて、
農地利用の割合はゴム(25%)、アブラヤシ(75%)になっているとのガイドさん談でした。

 

他に、ガイドさんから聞いた話としては、
アブラヤシは、(ゴムより)生産性がよく儲けが大きいが、水をとてもとても必要とするので土地がやせる(というような意味あいに聞こえました。ゴムよりとても水が必要なんだということはかなり強調されていました)。
また寿命50年の後カットしてもアブラヤシの木は再利用できない、破棄するしかない。

 

ゴムは成長が遅い。しかし、ゴムの木はカットしたあと再利用できるとも。

 

 

収穫したアブラヤシを回収して、一次加工場へ運ぶ大型トラック。
(トラックはisuzu、fusoが多かったです!)

 

 

満載という言葉がふさわしい積み具合。
ひとつ20kg以上になるアブラヤシの果実です。
100個積んでいたとして、2トン以上。
1000個積んでいたら20トン以上。
もっとつんでいるかにも見えます。
この重量のトラックがゴウゴウ行き来しているので、それは道があれるだろうなと思いました。

 

 

24時間以内に、一次加工場へ運び、搾油しなくては腐敗してしまうそうです。

 

一次加工はスマトラ島で行い、その後すべてマレーシアへ運び二次加工するとも
言っていました。

 


後ろのトラックの積みあげ具合がすごい。
なにもネットなどをかけていないので、ほんとうに積み上げただけです。
これを積み上げるのもかなりの重労働でコツがいるのだろうな、と思いました。

 

 

ガイドが農家に声をかけて、車を降りて、実際に収穫しているところをみせてくれました。
道端に積み上げられた、アブラヤシの果実。
こうして積み上げられた果実を、先ほどのトラックが回収していきます。

 

トラック以外に、バイクの両脇に竹かごをつけてそこにいれて運んでいる様子も見ました。
20個以上は運んでいたようでした。予想400kg以上…。普通の新聞配達してるようなバイクでですよ。

 

 

アブラヤシの果実アップ。
ちょうど、カットした面で果実の中の様子がわかります。
果実の中心(白い部分)→パーム核油
果実の周り(黄色い部分)→パーム油
になるそうです。
種類が違います。

 

そういえば、果実はそのまままるごと、機械でつぶすと言っていました。
どうやって、核部分と、まわり部分と選別するんだろ?

 

ちなみに現物の実を触りましたが、めっちゃくちゃ固くて、足で踏んでもとてもつぶれませんでした。
あと重くてとても持ち上げることはできませんでした。

 


左下に映っているのがガイドさんの靴先です。
果実の大きさがわかるでしょうか?

 


持ってみました。持ち上げることは片手ではとてもできませんでした。
カットされた茎。ごんぶとです。
この茎の下の実のない部分は、ちょうど木に接していた部分だそうです。
ほんとうに木にピタッとなってるんですね。

 

 

収穫作業の様子。
大きな木の下で人が本当に小さく見えます。
長い長い棒(グラスファイバーのようにみえました)の先に刃物がついていて、
それを操作して切り落とします。とてもアナログな作業ですが、技術や慣れが必要な作業とのことでした。

 

画面の右側の人が作業中です。
自身の10倍以上もある長さの棒を使って作業中です。

 

 

切り落としているところ。
最初に葉をカットします。
そうして果実を露出させてから、果実をカットします。

 

葉も、果実も巨大で、高所から落ちてくるので、危険な作業でもあります。

 

10分ほど、農場脇で作業を見ていました。
トラックさえ通らなければ、とても静かな中、バサバサと葉をたたく(カットしようとして)音だけが
響くのどかな雰囲気でした。
挨拶の仕草をしたら、こんな作業に興味あるの?という風に不思議そうに笑顔を返していただきました。

 

このアブラヤシ群の横には、民家があったのですが、そこに農家の人は住んで木のメンテから
収穫までをしているそうです。

 

 

 

 

アブラヤシプランテーション専用の道をでて、一般道に戻りました。
その後何か所かこのように、水田(米畑)をみました。
さすが熱帯の国、年に2回収穫できるそうです。
今はちょうど収穫したあとのようでした。

 

 

 

ここは左側の大きな方は50年ほどの木でもう生産がないそうです。
そして右側は若いアブラヤシで、確か15年ほどと言っていました。

 

一斉に森を切り開いて(すでにゴムプランテーションだったかもですけど)、一斉に植林している
様子がよくわかる光景でした。

 

 

こちらはもうひとつ、樹齢差のある光景。

 

左は50年。
右側は2・3年ほどの若い木の群れだそうです。
アブラヤシは植林後3年ほどで、果実が採れ出すそうです。

 

この辺りの農業エリアにとって、アブラヤシというのがいかに大切な産業になっているか、生活に密着したものなのかがよくわかりました。

 

ちなみに、私が今回通ったこのあたりのアブラヤシ農園で、たとえば孤立したオランウータンが見つかるということはありません。このあたりのオランウータンの生息地はグヌンルーセル国立公園で、そのエリアからはすでに20km、30km以上離れていて、そのような摩擦の起きるエリアではありませんでした。

 

もっと国立公園の近縁エリアや、国立公園内で違法開発されたエリアなどで、開発と野生動物の摩擦が起きているとのことでした。
グヌンルーセル国立公園は世界遺産ですが、そんなエリアでさえ違法開発は起きているそうです。
そういったところで孤立したオランウータンが発見されると、保護し、国立公園内に戻すという活動を、OICなどの地元団体がしています。
(OICの活動については今回オフィスで直接話を聞けたので、別途記事にしていきます。)

 

車窓からみた、アブラヤシプランテーションは、何十年か前にはオランウータンも暮らしていた熱帯雨林なのだと思われます。
今は、野生生物の気配のない整然とした農地で、地元としっかり結びついた経済活動の場なのだなと圧倒されました。

 

そして、悲しいことですが、このあたりが、再び熱帯雨林になり、オランウータンの生息を含む、自然な生態系がもどることは
ほとんど夢物語なのだとわかりました。

 

日本も、マレーシア・インドネシアから、このような巨大アブラヤシプランテーションから生産されたパームオイル、パーム核オイルを輸入して利用しています。
関心のある一部の人しかあまり知られていませんが、日本人も毎日の暮らしで、こういったパームオイルは必須のものです。
洗剤・石鹸・化粧品・チョコレート・ポテトチップなどの食品など、毎日パームオイルを消費しない日はないほど、密着したものです。
一番の輸出先はインドとのことでした。
日本だけではなく、世界中の国が利用しています。

 

アブラヤシが悪いわけではなく、アブラヤシを生産している人が悪いわけではなく(違法な農園はまた違う話として)そういった単純な話ではないのだと
感じました。
こういった危険もともなう労働の中生産されるパームオイルなのだなと思うと、それを使って生活してることに感謝の気持ちもわきました。

 

今、まず大切なのは、残っている生態系・森林を維持していくこと、守っていく事。
そのため、アブラヤシプランテーションがこれ以上、森林を破壊しなくてすむような仕組みや、監視や、私達の意識が必要なのだなと思いました。

 

やはり、まず知ることが大切なんだなと感じました。
使っているものがどこからきていて、どんな状況なのか。
知らないと、それに対する意識のもちようがないので。

 

少なくとも、この北スマトラの一番大きな生息地のグヌンルーセル国立公園は、世界遺産にもなり、保護の手は比較的強いようです。
(今後またさらに知っていきたいところですが、今の段階での感想です)
ですがもうすこし南のエリアの小さな生息地は、今も開発の圧にさらされていて、とても危ういそうです。
(昨年発見されたタパヌリオランウータンのエリアは、水力発電の開発のための道路建設の脅威にされされています)

 

全世界の熱帯雨林は、さまざまな開発の圧で危機にあるところが多いです。
スマトラオランウータンの保全を考えると、まずこの北スマトラの生息地が守られていきますよう支援することが大事なのだなと思いした。
その活動をしているOICなどの団体の活動は、また別の記事でまとめていきたいと思います。

 

 

 


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